「うたの世界へようこそ」訳詞


《レクイエム》より ピエ・イエズ G.フォーレ作曲

 

慈悲深いイエス様、 主よ

彼らに安息を与えてください

いつまでも続く安息を。

 

 


 

「魔王」 F.シューベルト作曲

 

誰がこんな夜の遅い時間の風が吹く中で馬を走らせているのか?

それは父親とその子供である;

父親は元気な男の子を腕に持ち、

しっかりと暖かく抱えている。

 

坊や、どうしてそんなに心配そうに顔を隠すのだい?

 

見えないの?お父さん、魔王のことが。

冠を被り尻尾のある魔王が。

 

坊や、それは霧の帯だよ。

 

可愛い子や、おいで、私と一緒に行きましょう!

とても楽しい遊びを、私と一緒にしましょう;

色とりどりのお花が岸に咲いていて、私のお母さんは金色の衣服をたくさん持っているよ。

 

お父さん、お父さん、聞こえてないの、魔王が約束しようとささやいてくるのが?

 

落ち着くんだ、落ち着きなさい坊や、葉っぱが風でザワザワしているだけだよ。

 

お利口な坊や、私と行きましょう?

私の娘たちは君を心待ちにしているよ、彼女たちは夜中まで側にいて、

そして踊って歌い、君を揺すって寝かしてくれるよ。

 

お父さん、お父さん、あそこに見てないの、魔王の娘たちが暗いところにいるんだよ?

 

坊やよ、坊や、私はちゃんと見ているよ、あれは灰色になった古びた柳だよ。

 

私は君のことが好きだよ、君の美しい外見は私を刺激するんだ、

君が来ようとしてくれないなら、私は暴力を振るう必要がある。

 

お父さん、お父さん、魔王が今ぼくの身体に触れたよ!魔王が苦しめてくるんだ!

 

父親はぞっとして、馬の速力をあげる、

腕に抱えた息子は苦しそうに息をする、

やっとのことで館に着くと、

 

その子供は腕の中で 死んでいた。


オペラ《セビリアの理髪師》より 「今の歌声」

 

今の歌声が

私の心の中に響いたわ

私の心は既に傷つけられたの

リンド―ロが私の心を射止めたの

そう、リンド―ロは私のものになるの

誓うわ、必ず勝ち取るの

後見人は許さないでしょう

でも私は知恵を使うわ

最後には彼をうまくまるめこんで

私が満足のいくようにするわ

そう、リンド―ロは私のものになるの

誓うわ、必ず勝ち取るの!

私は素直で、礼儀正しい

従順だし、優しくてかわいらしいの

私は言われるままに従うし、

人に好きなようにさせるわ

だけど、もし、私の弱みに触れたら

私はマムシになって

そしてたくさんの罠を仕掛けて

降参するまで、懲らしめてやるわ

 


オペラ《アイーダ》より 「勝ちて帰れ!」

 

勝ちて帰れ!

私の唇が残酷な言葉がこぼれてしまった!

私の父に勝てと

私のために武器を手に取った彼に

私に祖国と、宮殿と、

そして隠しておくことを強いられているわかりやすいこの名前を取り返すために!

私の兄弟たちの制圧者として…

愛する者の血に染まり、凱旋者としてエジプトに迎え入れる彼を見ることになるかもしれない!

彼の戦車の後ろには王が…私の父が鎖につながれている!

おお、神よ、この狂った言葉を取り去ってください!

父の胸に娘を返してください

我々を抑圧する者の軍勢を滅ぼしてください!

ああ!なんて不幸せなの!私は何を言ったというの?そして私の愛は?

この燃える愛を、虐げられ、囚われた私を、太陽の一条の光のように祝福してくれた愛を、

忘れることができるというの?

こんなにも愛しているラダメスに死をもたらす誓いをしようというの!

ああ!このように酷い悲しみで胸が引き裂かれる思いをした者がこの世にいるでしょうか!

父や…恋人という神聖な名前さえ口に出すことも思い起こすこともできない…

こちらか…あちらか…混乱し動揺し…

嘆きたい…祈りたい…

しかし私の祈りは冒涜に代わる…

私の嘆きは罪…ため息は咎…

夜の闇に私は正気を失い…

そして酷い悲しみに死をも願いましょう

神よ私の苦しみを哀れみたまえ!

私の悲しみには希望がありません…

破滅の宿命の愛、恐ろしい愛よ

私の心を砕き、死をもたらしたまえ!


オペラ《魔笛》より 「復讐の炎は地獄のようにこの心に燃え」

 

地獄の復讐の炎が我が心に燃えさかる、

死と絶望が 我が身を焼き尽くす!

お前がザラストロに死の苦痛を与えないなら、

もはやお前は我が娘ではない。

 

永遠に勘当されるのだ、

永遠に見捨てられるのだ、

永遠に打ち砕かれるのだ、

生来のすべての絆が。

 

もしお前によってザラストロが青ざめることがないのなら!

聞け、聞け、聞け

復讐の神よ、母の誓いを聞くのだ!

 


「あなたが欲しい」 E.サティ作曲

 

私にはわかったの あなたの苦しみが

愛しい人よ

そして あなたの望みをかなえてあげるわ

私をあなたの彼女になさい。

私たちに常識なんて遠い話だし

悲しみなんてなおさらのこと

私はこの特別な 幸せの瞬間に

身を焦がすの あなたが欲しいわ。

後悔なんてないわ

そして 望みは一つよ

そばにいたいの、ほら、とてもそばに

人生すべてをそこで生きたいの

私の心をあなたのものに

そしてあなたの唇を私のものに

あなたの体を私のものに

そして私の肉体すべてをあなたのものに。

 

私にはわかったの あなたの苦しみが

愛しい人よ

そして、あなたの望みをかなえてあげる

私をあなたの彼女になさい。

私たちに常識なんて遠い話だし

悲しみはなおさらのこと

私はこの特別な 幸せの瞬間に

身を焦がすの あなたが欲しいわ

ええ、私はあなたの目の中に見たわ

神聖な約束を

あなたの愛する心は

私の愛撫を求めていることを。

永遠に抱きあい

愛の夢の中で

同じ炎に身を焦がしましょう

二人の魂を一つにしましょう。


オペラ《ロメオとジュリエット》より 「私は夢に生きたい」 C.グノー作曲

 

ああ!

私は生きたい

私を酔わす夢の中で

今日もまた

甘い炎を

心の中にとっておきます

まるで宝物のように!

 

この若さゆえの酔い心地は

ああ、わずかな間しか続かない!

すぐにその時が来てしまう

愛の終わった心に涙する時が

そして幸せは逃げていきもう戻らない。

 

私は生きたい

私を酔わす夢の中に

今日もまだ

甘い炎を

心の中にとっておきます

宝物のように!

 

陰鬱な冬から遠ざかって

微睡みの中に居させて

そしてバラの香りを嗅ぐわ

枯れてしまう前にね。

 

甘い炎よ

心の中に残っていてね

素敵な宝物のように

いつまでもずっと!


 

カンタータ140番「目覚めよと、物見の声あり」第4曲 J.S.バッハ作曲

 

シオンは見張りらの歌うのを聴き、

彼女らの心は喜びに躍り、

目覚めてすばやく立ち出でる。

彼女らの友は天より晴れやかに来たる。

恩恵に濃く、真理に力強く、

その光は明るく、その星は昇る。

いざ来たれ、汝 尊き冠なる

主イエス、神の子よ!オザンナ!

我ら皆従い喜びの広間に行き、

晩餐をば祝わん。


オペラ《トリスタンとイゾルデ》より 「愛の死」 R.ワーグナー作曲

 

穏やかに静かに彼がほほ笑んでいるさまが

彼が甘やかに目を開くさまが

友よ、見えるでしょう?見えませんか?

星の光を帯び浮かびあがり、明るく光っているさまが?

見えませんか?

彼の心臓がはっきりとなみうち

胸の内で高まり高貴にみなぎるのを?

彼の優し気な唇から甘い吐息が漂うさまを

友よ!見て!見て感じることができませんか?

私だけがこの旋律を聞いているのかしら

とても素晴らしくて静かで

喜びに満ちた哀悼であり

すべてを語り

彼の音色と穏やかに調和し

私を満たし

高みに舞い上がり

私の周りで甘く鳴り響くこの旋律を?

より輝きながら私の周りにあふれ出ている静かなそよ風の波なのかしら?

喜びに満ちた香りが渦巻いているのかしら?

それらが高まり私に押し寄せるさまを

私は息づけばいいの、聞けばいいの?

私は飲み干せばいいの、浸ればいいの?

この甘やかな香りの中で息をすることも忘れればいいの?

この迫りくる奔流の中で

この響き渡る音色の中で

この宇宙を吹く世界の吐息の中で

溺れ、沈み、気が遠くなる

この上もない喜び!

 


「アヴェ・マリア」 シューベルト作曲

 

アヴェ・マリア様 優しき乙女よ、

この乙女の祈りを聞き届けください、

堅く険しい岩壁から

私の祈りをあなたのもとへ届けます。

私たちは朝まで安心して眠れます、

世の人々がどれほど残酷でも。

ああ乙女よ、この乙女の苦悩をご覧ください、

ああ聖母様、苦しむ子の声をお聞きください!

アヴェ・マリア様

 

アヴェ・マリア様 潔いお方!

私たちがこの岩場に身を沈めて眠るとき、

あなたの御加護に守られ

堅い岩壁も柔らかくなります。

あなたが微笑まれると、薔薇の香りが漂います、

湿った暗い岩場でも。

ああ聖母様、子の願いをお聞きください、

ああ乙女よ、この乙女の呼び声を!

アヴェ・マリア様!

 


「夢路より」 S.フォスター作曲

 

美しい夢見る人よ、私のために目覚めておくれ

星の光と露の雫があなたを待つ

お粗末な世界のざわめきは

月の光に優しくなだめられ、すべて過ぎ去ったところだ!

私の歌の女王、美しい夢見る人よ

柔らかな旋律とともに伝える私の愛を受け入れておくれ

忙しい群衆の人生の悩みは去っていった

美しい夢見る人よ、私のために目覚めておくれ